第75章

妃那の視点:

昌弘のあまりにも身勝手な言い分に、思わず鼻で笑いが漏れた。

場はしんと静まり返っていて、昌弘が黙った直後だったから、私の笑い声だけがやけに目立つ。

途端に昌弘がカッと目を吊り上げる。

「何がおかしいんだよ。お前ごときが、篠川家の縄張りで笑っていい立場だと思ってんのか?」

その言葉が終わるより早く、葉夜がテーブルの湯呑みをつかみ上げ、容赦なく昌弘の顔面めがけて投げつけた。

「うぎゃっ! あっちぃ! あっつ、あっついって!」

昌弘が顔を押さえて転げ回る。

愛琴は眉間に皺を寄せて、たしなめるように言った。

「葉夜、血筋で言えば、あなたは昌弘さんを『叔父さん』と呼ぶ立...

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