第78章

妃那視点:

呆然とするしかなかった。皆人の妻が、いきなり銃を抜いて、愛琴を撃ち抜くなんて――想像すらしていなかった。

あまりにも急激な展開に、その場にいた全員が私と同じように固まり、少し遅れて、あちこちから悲鳴が上がり始める。

「愛琴!」

由木が目を見開き、怒り任せに自分を殴っていた妻を突き飛ばしたかと思うと、愛琴の元へ駆け寄り、その横でがくりと膝をついた。震える手で必死に愛琴の体を揺さぶりながら、信じられないといった声で名前を呼び続ける。

「愛琴! 愛琴! 目を開けろよ、愛琴!」

やがて由木の表情がぐしゃりと崩れ、愛琴の遺体にすがりついたまま、子どものように声を上げて泣き始めた...

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