第81章

妃那視点:

外から、くぐもったざわめきが微かに響いてくる。真っ暗な室内は、窓の外を走り抜ける赤い光に一瞬だけ照らされては、また闇に沈んだ。

その明滅に合わせて、葉夜の整った横顔も陰影を帯びていく。けれど、その瞳だけは終始ぶれることなく静かだった。

吐息が頬にかかる。熱い。火照るような熱さ。

「怖くないのか?」

低く問われる。

「怖いよ」

私は正直に答えた。

葉夜がふっと笑い、額をこつんと私の額に押し当ててくる。

「じゃあ、どうしようか。ベイビー。今さら怖がっても、もう遅いけど?」

囁きはやわらかく、小馬鹿にしているようで、それ以上に甘やかしている響きを帯びている。

至近...

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