第89章

妃那視点:

私はダーツを受け取ると、わくわくしながら亜怜のほうへ構えてみせた。

軽く腕を振り、投げるふりをしてみせると、亜怜はびくっと肩を震わせて叫びだす。

「や、やめろ! 妃那、やるなよ! お前、自分が誰に向かってそんなことしてるか分かってんのか!? 俺はな、お前みたいな貧乏人が一生逆らえない相手なんだぞ!」

「そうなの。こわーい」

私は無表情のまま口にした。

ところが亜怜は真に受けて、すぐさま声を荒げる。

「怖いならさっさと俺を解放しろ!」

「やだ」

私がにっこりと微笑んだ次の瞬間、ダーツをひとつつかみ取り、彼めがけて一直線に投げつけた。

刹那、ダーツが彼の左手を貫き...

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