第90章

妃那視点:

亜怜がしょんぼりと出ていったあと、場の空気が少しだけ気まずくなった。

同窓会を企画したのは亜怜だ。その本人が帰ってしまって、続けるべきかどうか、みんな判断がつかないらしい。視線がやたらと私のほうに集まってくる。

何を期待されているのか、すぐに悟る。私は笑って立ち上がった。

「お客様が帰られる必要はありませんわ。パーティーはこのまま続行――ただ、主催者が交代するだけですの」

言い終えた途端、あちこちから「あ……」と納得したような声が上がり、すぐに感謝の言葉が飛んできた。

「ありがとう、妃那!」

「何が妃那だよ、篠川夫人って呼ばなきゃな!」

「結婚式のときは絶対呼べよ...

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