第99章

妃那視点

刑務所で祈葉と会って帰ってきたあと、ふと一人の男のことを思い出した。

祈葉の彼氏だった、朱司のことだ。

朱司は、彼女の恋人であると同時に、私にとっても「友達」と呼べる存在だった。彼に事件が起きる前、ずっと私と家との関係を取り持ってくれていたのだ。あの頃は、彼が間に入ってくれたおかげで、一郎とも恵麗とも、だいぶうまくやれるようになっていた。

朱司は、とても優秀な男性だった。紳士的で礼儀正しく、家も裕福で、それ以上に──話しぶりがいい。

正直に言えば、祈葉が朱司みたいな男を捕まえたことは、本当に「運がいい」としか言いようがない。

まさか、その彼にあんな不幸が降りかかるなんて...

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