第16章

玄関を開けた途端、小岩青子の母親――周防おばさんが、フライ返しを手にしたまま台所から飛び出してきた。

「まあ、知子ちゃん! 来たのね、さあさあ、上がって上がって」

周防おばさんは勢いよく宮原知子の手を取ると、頭からつま先までじっと見回し、痛ましげに目を潤ませる。

「なにこの痩せ方……。またちゃんと食べてないんじゃないの?」

「周防おばさん……」

知子は鼻の奥がつんと熱くなり、喉がきゅっと詰まった。

「ほら座って座って。青子、お水――じゃなくて、知子には温かいのよ。何か飲ませてあげて!」

周防おばさんは知子をソファに押し込むと、ばたばたと台所へ引き返す。

「待っててね。知子の大...

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