第18章

帰りの車内は、凍りつくほど冷え切っていた。

岸江立人は運転に集中し、バックミラーには宮原知子の血の気のない横顔が映っている。彼女は窓にもたれ、ひと言も発しない。何を考えているのか――それすら読み取れなかった。

長川玄哉も同じく無言だった。ただ、いつも陽だまりみたいに明るいはずの瞳は、今はどろりと濁った影を落としていて、別人のように見えた。

車はやがて、長川家の別荘の門前で止まる。

「先輩、俺も一緒に入ります」

長川玄哉が先に口を開き、シートベルトを外した。彼は普段ここには住んでいない。都心の高級マンションで暮らしているはずだ。

「大丈夫」

宮原知子は小さく首を振った。声も軽い。...

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