第187章

長川輝夫はちらりと彼を見上げただけで、表情ひとつ動かさなかった。

男の額の汗は、みるみる増えていく。

「……あなた、あの人たち知ってるの?」

異変を察した女が、夫の袖を引いた。

だが男は取り合わない。早足で長川輝夫の前へ進み出ると、深々と頭を下げた。

「長川様、誠に申し訳ございません。妻が分別もなく、ご無礼を働きました。私からお詫び申し上げます」

女は目を見開いた。

「はあ? あんた正気? なんでこいつに謝るのよ! そっちの女がうちの子の腹を痛くさせたんじゃない!」

「黙れ!」

男は振り返り、鋭く睨みつけた。

そこへ、秘書が病院の検査結果を差し出す。

「長川様、病院の検...

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