第189章

長川輝夫は周囲の視線に気づくと、軽く咳払いをして笑みを引っ込めた。だが目の奥に残った愉悦だけは、どうしても隠しきれない。

彼は片手をひらりと振る。

『続けて』

それからの会議は、誰もが上の空だった。資料を追うふりをしながら、つい長川輝夫を盗み見てしまう。

本人はというと、何度もスマホを手に取っては画面を確認し、そのたび口元が勝手にゆるんでいた。

ようやく会議が終わると、役員たちは命からがらとばかりに会議室を飛び出していく。

アシスタントがおそるおそる近づき、長川輝夫の「いつもと違う笑顔」に喉が鳴った。

『長川様……だ、大丈夫でいらっしゃいますか?』

長川輝夫は顔を上げ、ちらり...

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