第36章

宮原知子は彼に笑わされてしまい、「こんな身体で、どうやってサッカーするのよ」と肩をすくめた。

「蹴れって言ってるんじゃない。感じてみて、ってこと」長川玄哉は片目をつむるようにしてウインクし、見本を見せる。足の内側でそっとボールを押し、芝の上をゆっくり転がした。「ほら、こんなふうに。散歩だと思えばいい」

陽の光の下、長川玄哉は気長に付き合い、ひとつひとつ丁寧に教えた。どうボールを収めるか。どう重心を取るか。

宮原知子は不器用に真似をする。丸くせり出したお腹のせいでどこか滑稽に見えるのに、頬に浮かぶ笑みだけは、このところでいちばん気負いのない、素のものだった。

少し離れた二階の書斎。長川...

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