第39章

周防おばさんも分娩室の前を行ったり来たりしながら、赤いランプを見上げては岸江立人に目を向け、瞳いっぱいに不安を滲ませていた。

小岩青子はスマホを取り出し、宮原知子に浴びせられている悪意の言葉を黙々とスクリーンショットに収めていく。

知子が目を覚ましたら、きっと必要になる。そう確信していた。

一方――長川輝夫はオフィスにいた。机の上に散らばる書類を眺めながら、胸の奥がざわついて仕方がない。

煙草に火をつけ、白い煙がゆらりと立ちのぼった、その瞬間。

ふっと思い立ったように、彼は煙草を揉み消した。

思い出してしまったのだ。宮原知子が、かつて吐き捨てるように言った言葉を。

「長川輝夫。...

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