第43章

一夜、眠れなかった。

宮原知子が目を覚ますと、身体はやけに柔らかなキングサイズのベッドに沈み、肌触りのいいシーツと絹のような掛け布団に包まれていた。枕の向こう側には、長川輝夫の眠る横顔。

眠っているときの彼からは、普段の「近寄るな」とでも言うような冷たさが消えている。眉間の皺もほどけ、呼吸は静かで規則正しい。

知子は軋む腰を押さえながら上体を起こした。昨夜のことが、身体の節々にまとわりついて離れない。

布団をはねてベッドを降り、二歩ほど進んだところで膝がふらつき、よろけた。

ほとんど同時に、ベッドの男が目を開ける。

「どこへ行く」

知子は答えず、壁に手をついて、ゆっくりと浴室へ...

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