第47章

一週間後。

宮原知子は長川直志を連れて、長川家の別荘へ戻ってきた。

車を降りると、彼女は赤ん坊を腕に抱いたまま玄関へ向かう。腕の中の小さな身体はすやすやと眠り、口元はほんの少し開いて、かすかな寝息を立てていた。これから自分が何を失うのか――そんなこと、知るはずもない。

リビングでは、周防礼美がソファに背筋を伸ばして座っていた。勝者の余裕をまとった冷ややかな表情。指先でティーカップの縁をなぞりながら、玄関の方へ視線を投げては、品定めするように待ち構えている。

反対側の一人掛けには長川輝夫。書類を手にしたまま目を落としているが、読んでいるというより、ただ紙に視線を置いているだけに見えた。...

ログインして続きを読む