第60章

宮原知子が目を覚ましたとき、陽の光はもうカーテンの隙間から差し込み、部屋の床に細い帯を落としていた。

彼女は瞬きをして、見知らぬ天井を数秒ぼんやり見つめる。次の瞬間、勢いよく上体を起こした。

――ここ、どこ?

布団をめくって自分の身体を確かめる。着ていた服はいつの間にか替えられていて、生成りのコットンのパジャマになっていた。

さらに布団を跳ね上げ、脚や腕をざっと見回す。妙な痛みも違和感もない。あるとすれば、頭がまだ少し重いくらい。

昨夜……。

記憶がつながった途端、宮原知子の表情がすっと硬くなる。

薬を盛られた。

あの場でそんな真似ができる人間など、鈴野雫以外に思い当たらない...

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