第63章

さっき宮原知子に言われた言葉を、彼は思い出していた。

もしかすると、本当に自分が過敏になりすぎているだけなのかもしれない。

それでも、疑わしきは遠ざけるに越したことはない。顧直志を宮原知子に近づけたくない――その一点さえ守れれば、それでいい。

宮原知子は帰宅すると、岸江立人から電話を受けた。

『知子、おめでとう。周防様の案件、取ったんだってね』

宮原知子はふっと笑い、けれどすぐにその笑みを引っ込めた。

『でも、周防様のあの案件には長川輝夫の出資が入ってるの』

『断るのか?』

『ううん、受けるわ』

宮原知子はくすりと笑った。

『これをやり切れば、お金も名声も手に入るもの』

...

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