第10章

東光大学の新聞学棟。床から天井まで続く窓から秋の日差しが流れ込み、私のノートパソコンを暖かく照らしている。私はインタビューのメモを整理するのに集中していた。

一年が経ち、私はすっかりここの生活に馴染んでいた。私の過去を知る者は誰もいない。故郷で心を打ち砕かれた少女のことなど、誰も知らない。ここでは、私はまったく新しい三浦絵里奈――新聞学専攻の優等生で、写真サークルの活発なメンバーで、いつも輝くような笑顔を浮かべ、自信に満ち溢れている少女なのだ。

成功したと思っていた。過去を完全に置き去りにできた、と。

「絵里奈、学内サイト見た?」ルームメイトの紗羅が興奮した様子で駆け寄ってきた...

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