第11章

雨に打たれながら、蓮は大きなひまわりの花束を腕に抱えて立っていた。灰色の雨空の下、その黄金色の花はひときわ輝いて見える。濡れた黒髪が額に張り付き、その瞳は、まるで私を見逃すまいとでも言うように、通り過ぎる人々の一人一人を真剣に見つめていた。

彼を見た瞬間、心臓が止まるかと思った。

あまりにも夢のような光景だった。かつて私を守り、慈しみ、心をときめかせてくれたあの男の子が――本当にここで私を待っている。

「蓮!」

雨音にかき消されそうな、かすれた声で叫びながら、私は彼のもとへ駆け寄った。

彼が振り返り、私を視界に捉えた瞬間、その瞳に見たこともないほどの光が宿った――驚きと...

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