第6章

「本当に本を読んでたの、ほら……」私は必死に言い訳しながら、彼に見せようと本を開いた。

「嘘をつくと耳が赤くなるんだね」彼はくすりと笑いながら言った。

私は思わず耳に触れた。「嘘なんてついてない!」

「今度はもっと赤くなってる」彼は頬杖をつき、私が慌てる様子を面白そうに眺めている。

憤慨して彼を睨みつけた。すると、彼の表情がふと真剣なものに変わったのに気づいた。

「絵里奈」彼がそっと私の名前を呼んだ。

「ん?」

「あのさ」彼の声は優しく、慈しむような響きを帯びていた。「俺のこと気にかけてくれてるとき、すごく優しい目をするんだね」

心臓が大きく跳ねた――罪悪感...

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