第7章

蓮は直接答えず、代わりに駐車場の隅に停めてある黒いバイクへと歩いていった。その流線型で野性的なフォルムは。バイクに乗ったことなんて一度もない私は、それを見ているだけで興奮と恐怖が入り混じった気持ちになった。

「俺だけの場所だ」彼は振り返って私を見つめる。その瞳は深く、ミステリアスな色を帯びていた。「嫌なこと、全部忘れさせてやれる場所……」

彼だけの場所? 心臓がまた速く鳴り始めた。彼の聖域に、私を招き入れてくれるっていうの?

「どうしよう……」私は彼が差し出すヘルメットを見て躊躇った。「誰かに見られたら……私……お母さんが心配するから」

蓮はすっと手を引っ込め、その表情が瞬...

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