第113章

その言葉を聞いて、渕上純の胸の奥がふわりと温かくなった。一つ大きく深呼吸をすれば、波立っていた心も次第に凪いでいく。

やはり、昔から言われていることは正しい。付き合うなら自分に良い影響を与えてくれる人間——いわゆる「正のエネルギー」を持つ相手を選ぶべきだ。そうすれば心も晴れやかになる。逆に、負のオーラを纏わりつかせてくるような人間と関われば、鬱屈とした気分が増すだけなのだから。

帰宅後、渕上純はゆったりと湯船に浸かり、ようやく生き返ったような心地になった。

ソファに身を沈め、昨夜の出来事を反芻する。頭を占めるのは一つの疑問だ。神原お婆さんは、以前から社交界で囁かれていた純に関する根も葉...

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