第116章

お湯張りをしている最中、渕上純はふと思い出した。そういえば小林香理の浴室には、バラの形をした入浴剤――フラワーペタルが大量にストックされていたはずだ。以前、香理がスマホを見ながら「綺麗な女の人がみんなやってるから」と小林海におねだりして買ってもらったものだと言っていた。

そうと決まれば善は急げだ。渕上純は浴室を抜け出し、小林香理の部屋へと忍び込んだ。音を立てないよう慎重にドアを開け、中へ滑り込む。戸棚を開けると、そこには予想通り大量のフラワーペタルが鎮座していた。彼女はその中から二袋ほど拝借し、またこっそりと浴室へ舞い戻った。

浴室に戻ると、彼女はお湯が十分な水位に達するのを静かに待った...

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