第130章

木村薫の問い詰めなど、渕上純には最初から想定の範囲内だった。名家の夫人というのは得てしてこういう思考回路を持っている。論理をすり替えてでも、身内を庇おうとするのだ。

だが残念ながら、純も黙って言われっぱなしでいるような殊勝な性格ではない。

「以前の出田竜也は、口先だけか、あるいは軽く触れてくる程度でした。ですが今日の昼、山での彼は完全に常軌を逸しており、明確に私を犯そうとしていました。それに、以前はまだ交際中の話ですが、今はもう別れています。しかも原因は竜也の裏切りです。これらは性質が全く異なります。それでもおばさんは、この二つを同列に語るおつもりですか?」

その場は重苦しい沈黙に包ま...

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