第132章

病室には彼ら三人だけが残された。出田竜也の表情は、すでに酷く強張っている。

「やっぱりそうか。お前、神原文清のことが好きなんだろ?」

「散々話してそれですか。出田竜也、あなたの関心がまだそんな些末なことにあるのなら……あなたは本当に救いようがありませんね」

出田竜也の瞳から温度が消え、その掠れた声には怒気が孕んでいた。

「渕上純、神原文清のためなら、今回俺に会いに来るのも随分と勇気を振り絞ったんだろうな? 以前のお前が、自分から進んで俺に会いに来たことなんてあったか?」

出田竜也の顔色はますます陰りを帯びていく。

傍らで沈黙を守っていた小林海も、出田竜也がまた暴言を吐こうとしてい...

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