第262章

翌朝、二人は申し合わせた通り、市役所の前で落ち合った。

本来なら早朝に神原文清が車で迎えに行くはずだったのだが、渕上純の緊張が極限に達していたため、彼女は男の出迎えを拒否し、タクシーで一人向かうことを選んだのだ。

文清は純の気性を熟知しているし、彼女が今、どれほど張り詰めているかも察していた。

だからこそ、あえて彼女の思うようにさせたのだ。

少なくとも、彼女は自分との結婚を承諾してくれた。その事実だけで、文清の心は十分に満たされていた。

入口に立つと、七、八組のカップルが列を作って中へ入っていくのが見えた。女性の中には、白のワンピースにヘッドドレスまで着け、この日を人生最大のイベン...

ログインして続きを読む