第380章

確かに、そこには多少の計算高さがあったかもしれない。だが、渕上純が理不尽な目に遭い、悔しい思いをしたこともまた事実だ。神原文清に説教されたことで、彼にようやく自分の受難を思い知らせることができたのだから。

中村瑞が病室のドアを開けようとした、その時だった。わずかに開いた隙間から中の様子を覗き見て、彼は思わず硬直した。

社長がこれほどまでに優しく、まるで宝物でも扱うかのように誰かをあやしている姿など、初めて目にしたからだ。

以前なら、天地がひっくり返っても有り得ない光景だった。

まさに、太陽が西から昇るような異常事態だ。

かつて神原文清が風見紬と付き合っていた頃でさえ、中村瑞はこんな...

ログインして続きを読む