第381章

突然名前を呼ばれ、千鳥燕はびくりと肩を震わせた。息を呑み、怯えた様子で周囲を見回すが、自分が逃げ隠れできる場所など、どこにもないことを悟る。

一向に動こうとしない千鳥燕を見て、馬田が再び怒声を浴びせた。

「何をしている! さっさと前に出て謝らんか!」

今度ばかりは馬田も本気で焦っていた。千鳥燕がしでかした不始末はあまりに大きく、すでに傷害沙汰に発展しているからだ。しかもその相手は、あろうことか神原文清の妻である。

誰であろうと、そんなことをすれば破滅は免れない。

馬田は渕上純と神原文清の関係を知って以来、渕上純に対して常に腫れ物に触るような態度で接してきた。それなのに、たかが一介の...

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