第384章

神原文清は片眉を器用に跳ね上げ、切れ長の瞳をわずかに細めた。そして、彼女を横目で一瞥する。

「もしかして、焼いているのか?」

その言葉に、渕上純は心臓を射抜かれたように肩を震わせた。耳の先までカッと熱くなるのが自分でもわかる。だが数秒もすれば、彼女は平静を取り戻していた。

「焼き餅を焼くのは当然のことでしょう? これでも神原の妻ですから」

渕上純は悪びれることなく、堂々と認めた。

男は渕上純を見る目に、あからさまな面白がりの色を浮かべた。彼は小さく笑う。

「お前がそこまで言うなら、夫として、ちゃんと釈明しておかないとな」

「彼女の名は新田佐美だ。新入りで、まあ、アシスタントのよ...

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