第512章

中村瑞は自分がここでお邪魔虫になることを察し、手短に仕事の報告を済ませると、早々に病室を後にした。

病室には再び、渕上純と神原文清の二人だけが残された。

二人の病室は隣同士で、毎日顔を合わせているというのに、純はそれでもなお、彼に会いたいという気持ちが満たされないように感じていた。

中村が去った後、二人の間には沈黙が降り、部屋の空気が少し重くなった。

しばらくして、純が先に口を開いた。

「中村さんに言ってたこと、全部聞こえてたわよ。どうして私には言ってくれなかったの?」

「別に言うほどのことでもない。それに、さっき中村にも言っただろう? 医者は、リハビリさえしっかりやれば元通りに...

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