第529章

 中村瑞也は千鳥燕の姿を認めると、複雑な表情を浮かべた。そして神原文清に向き直り、問いかける。

「神原社長、どうなさいますか」

「俺が行く」

 そう言い残し、神原文清は表情一つ変えずに校舎へと足を踏み入れた。そのままエレベーターで最上階へと直行する。

 屋上への扉を押し開けると、そこには救助隊員や職員が集まっていた。だが、千鳥燕を刺激することを恐れ、誰も踏み込めずにいる。皆、出入り口付近に固まり、彼女とは遠巻きに距離を置いていた。

 神原文清の姿を見るや、その場にいた全員が、まるで救世主でも現れたかのような安堵の表情を浮かべる。

 学校側は、普段から千鳥燕と親しい同僚を説得に向か...

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