第64章

「確かにそうね。今は事を大きくしないと、権力者たちには太刀打ちできないもの」

「だが、これからは何があっても俺に言え。俺は今、お前の恋人だ。お前を守るのは俺の役目だ」

神原文清の眉間に、不快な色が走った。

その言葉は渕上純に強烈な安心感をもたらし、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「ええ、わかったわ」

続けて彼女は言った。

「昔、私がいじめられた時も、叔母さんは決して助けてくれなかった。いつも私が悪いと決めつけて、事情も聞かずにただ謝れって……。あの人の目には、私は権力者より下の存在でしかないの。私が正しくても、権力者に逆らえば私が悪になる。あいつらに譲歩しなかったからって」...

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