第66章

再び目を覚ますと、彼女はゆっくりと瞼を開いた。最初に鼻腔を突いたのは、強烈な消毒液の臭いだった。

体を起こそうとした瞬間、頭が割れるような激痛が走り、慣性のままベッドへと逆戻りする。くぐもったうめき声を漏らし、頭を押さえようと手を伸ばしたが、思いがけず腕にも包帯が巻かれていた。その動きだけで、腕にまで痛みが走る。

「あ……」

その時、廊下から慌ただしい足音が近づいてきたかと思うと、出田竜也が部屋に飛び込んできた。額には小さなガーゼ、顔の半分は腫れ上がり、首にはコルセット、よく見れば手にも包帯が巻かれている。どうやら彼も重傷のようだ。

「純ちゃん、やっと目が覚めたか! このまま目覚めな...

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