第77章

小林海は骨抜きにするような艶のある声で、微笑みを滲ませながら言った。「渕上さん、随分と率直ですね」

「事件の話ばかりしていたせいで、すっかり冷めちゃったわ。ちょうどいい、これは私が持ち帰って家で食べるから、新しくいくつか頼みましょう」

そう言って、渕上純はウェイターを呼ぼうと手を挙げかけたが、小林海がそれを制した。

彼は箸を伸ばして冷めた豚の角煮を口に運び、目を細めた。「冷めても美味しいですよ。最近は暖かくなってきたし、これくらい何の問題もありません。僕は気にしませんから」

小林海がそう言うのなら、と渕上純もそれ以上は何も言わなかった。下手に気を使うのも野暮というものだ。

話し込ん...

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