第96章

渕上純は苦笑しながらも、香理ちゃんを胸に抱き寄せ、その小さな背中を優しく叩いて宥めた。

「今日はありがとうね、香理ちゃん。先生のために怒ってくれて。先生、本当に感動しちゃった」

渕上純からの感謝の言葉を聞くと、小林香理のどんよりとしていた大きな瞳が、瞬く間に輝きを取り戻した。

「本当に? お姉ちゃん、私、本当に役に立てた?」

「もちろんよ。お姉ちゃんのために怒ってくれて、味方してくれて……本当に嬉しかったわ」

そう言って、渕上純は小林香理に向けて親指を立ててみせた。

すると小林香理は、愛らしい子供特有の天真爛漫な笑みを浮かべた。その表情は生き生きとして、活力に満ち溢れている...

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