第100章

本田優が振り返った瞬間、背後にふわりと浮かぶ神崎様の姿が視界に入って、思わず息をのんだ。しかもこの角度だと、首をつかまれてぶら下がっている小さな女の子と目が合ってしまう。血と涙で濡れたその瞳――見ただけで心臓がきゅっと縮む。

 本田優はよろけて二歩、三歩。転びそうになって、必死に踏ん張った。

 だが、その様子は織田晋や瀬川伸一たちの目には、さらに絶望的に映った。

 本田優がここまで怯える相手だ。肝心の「先生」はどこにも見当たらない。――じゃあ、俺たちはもう終わりじゃないか。

 逃げ道を探そうとした、そのとき。

 本田優が向き直り、やけに改まった口調で言った。

「こちらが神崎様。俺...

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