第114章

  その夜、村田はこっそり箒を肩に担ぎ、ライターを握って家を出た。あちこちに貼られた札を、まとめて掃き集めて片づけるつもりだったのだ。まったく、あいつらときたら事情も知らずに「幽霊を殺せ」だなんて騒ぎ立てて――ひどすぎる。だいたい噂じゃ、棺を担いで歩いていたっていうのに、誰かを害する気配なんて少しもなかったじゃないか。

  村田俊之が目を覚ますと、親父が箒を持って出ていこうとしているところだった。思わず声が裏返る。

  「父さん、こんな夜中にどこ行くんだよ?」

  村田は息子が起きたのを見るなり、ちょうどいいとばかりに言った。

  「お前も来い。札を掃くぞ」

  村田俊之「……」

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