第119章

神崎飛鳥は、ようやく腑に落ちた。この家には確かに幽霊そのものはいないのに、なぜ「出る」のか。

  原因は、殺された三人の残した禍々しい気配だ。しかもあの三人は、あまりにも惨く、あまりにも突然に死んだ。自分がどう死んだのか理解する間もなく恐怖で魂が散り、三魂七魄のうちがばらばらになってしまったのだろう。

  幽霊としてこの世に留まるには、最低限の「一魂一魄」が要る。どちらかが欠ければ、自分が誰なのかすらわからないまま、ぼんやりと漂い続ける。解放もされず、輪廻にも入れない。

  この部屋に残っていたのは、枉死した三人の「一魂一魄」のうちの「魄」――意識を司る伏矢、その欠片に違いない。

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