第123章

A市からB市までは二時間ちょっと。そこから動車の駅から車を拾って大龍山の麓まで向かうと、結局ぜんぶで三時間近くかかった。麓に着いた頃には、もうすぐ夜の十一時。

  神崎飛鳥は立ち止まり、山を何度か見上げた。どうにも落ち着かない。見知らぬ山にしか見えないのだ。自分の知っている幕山とは、どこかが決定的に違う。

  幕山は確かに大きかった。山並みはどこまでも連なり、目で追っても追いきれないほど。けれど、あんなふうに家が密集していることはなかったし、人だってこんなに多くなかった。麓の小さな村も、せいぜい数十人が暮らす程度だったはずだ。

  イケメンのお坊さんの名は遠くまで轟いていて、噂を聞きつ...

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