第129章

義沢友望は今にも泣き出しそうだった。顔色は真っ青、息も荒い。とりわけ、外から聞こえてくる賑やかな囃子――太鼓に鉦、唢呐の甲高い音が混じった瞬間、さらに血の気が引く。部屋の中を行ったり来たりしながら、声を押し殺してしゃくり上げた。

「どうしよう……来た! 迎えが来たよ! いま、私たちどうすればいいの……?」

 脇に座る前川浩平も、顔色はよくない。だが義沢友望ほど取り乱してはいなかった。顔盗りと殺し合いをくぐり抜けた男だ。こういう場面での腹の据わり方が違う。

「落ち着け。焦っても状況は変わらない。様子を見ながら動こう。今日はあんなに騒がしいんだ、どさくさに紛れて抜けられるかもしれない」

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