第140章

  泥棒はやけに上機嫌なまま警察署へ連れていかれた。本人としては一刻も早くここから離れたいらしく、牢屋に入ることになろうが、この場に一秒だって長居したくないのだろう。担当の警官も、こんな興奮して嬉しそうな泥棒は初めて見たのか、思わず吹き出して「世の中いろんな変わり者がいるもんだな。署に入って喜ぶやつなんて、そうそういねぇぞ」と呆れ混じりに笑った。

  ……それにしても、あの長髪の女。

  どこかで見たような気がする。

  長田秀明はぽん、と手を叩いた。

  そうだ。神崎飛鳥じゃないか。ひと月ほど前、桐生大地を助けたあの人だ。あのときはこっちが勝手に幽霊だと勘違いして、冷や汗をだらだら...

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