第149章

  ――そのときだった。

  ぶわっと陰風が吹き荒れ、肌を刺すような冷気が一気に押し寄せる。骨の髄まで染み込む陰の気配に、背筋が粟立ち、思わず肩をすくめて震えた。

  しばらくして、祭壇の上に、ぼんやりと黒い人影が浮かび上がる。

  高い帽子をかぶり、鉄鎖を手にした男。こちらを見下ろす双眸には、波ひとつ立たない。

  安倍晴明と行川部長は視線を交わし、驚きに目を見開いたまま、しかし喜色を隠せずにそろって拱手して礼をした。

  「霊界の執行人様――」

  執行人は短く言った。

  「可」

  それきりだった。

  言葉が落ちた瞬間、荒れていた陰風はすっと引き、冷えも潮が退くよ...

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