第165章

四柳竜介には、どうにもこの長髪の女の正体が掴めなかった。

影があるなら人間――そう言いたいところだが、普通の人間が幽霊の食べるものを平然と口にできるか? しかも幽霊相手に交渉までして、「遺産を相続する」とか言い出すなんて、まともな神経じゃできない。

かといって、人間じゃないと言い切れるほどでもない。

見た目だけなら、確かに人間そのものだ。

世界は広い。変なやつには、いくらでも出会う。

それでも助かったことが一つある。

長髪の女が割り込んできたせいで、女中たちがさっきまでみたいに積極的に「黒まる」を食わせようとしてこなくなったのだ。命拾い――いや、胃拾いしたと言うべきか。危ないとこ...

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