第177章

  署内は、重要文化財級の窃盗犯を押さえたことで浮き足立っていた。なにせ大箱が十数個。中身は金銀や玉の細工物ばかりで、どれも目を奪われるほど精緻で豪奢だ。経年でくすみはあるものの、価値が落ちるどころか箔がついている。すでに上へ報告は上がっており、あとは専門家の到着を待つだけ――そんな空気だった。

 「しかし、あの長髪の女……神崎飛鳥って、頭がちょっとおかしいんじゃないか? どう見ても年代モノだろ。『合法的に相続した遺産です』とか、誰が信じるんだよ」

 「妙なのは確かだな。共犯を吐きたくなくて、わざと変な言い訳してるのかもしれない。こっちの警戒を緩めるために」

 「だとしたら、案外やるじ...

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