第178章

「三井」が警官を叩きのめし、牢房の鉄扉を片っ端から開けた挙げ句、今度は照明まで壊した――?

 中に閉じ込められていた連中が唖然としたのはもちろん、その場の警官たちまで言葉を失った。あまりにも手際がいい。組織的で、段取りが明確すぎる。こんなこと、ひとりでできるはずがない。共犯がいる――そう考えるのが自然だった。

 たちまち全員が臨戦態勢に入る。懐中電灯の光が一斉に「三井」へ突き刺さり、同時に誰かが小声で指示を飛ばした。署の周囲を確認しろ。不審者がいないか。外に迎えがいる可能性が高い――。

 だが、長田秀明だけは違う見方をしていた。

 「三井」の様子が、どうにも既視感を刺激するのだ。どこ...

ログインして続きを読む