第194章

神崎飛鳥がいまいる小さな町は玉泉村という。名の由来は玉泉寺。ちょうど今日は参拝客でごった返し、提灯や飾りがあちこちに吊られて、町じゅうが浮き立っていた。パンパンと爆竹が鳴り続け、やけに賑やかだ。

 彼女は大通りを歩きながら、通りすがりの人を捕まえては聞いて回った。

 幕山村って、知ってます?

 ――返ってくるのは、決まって首を横に振る仕草ばかり。

 外から来た参拝客なら知らなくても不思議じゃない。そう思って、今度は店に入って店主にも尋ねてみたが、結果は同じだった。

 誰も知らない。

 ――あの老和尚は「覚えがある」って言ってたのに。

 神崎飛鳥はがっくり息を吐き、道端の花壇の縁...

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