第32章

長いあいだ、きつくて地道で、それでも手を抜かずに働き続けた結果――神崎飛鳥は、ついに人生で初めての「頂点」を迎えた!

 上の人が言うには、彼女の才能と努力をとくに高く評価しているらしい。なかでも、お化け屋敷という仕事に対する真面目さが素晴らしい、と。

 怖さをこらえて、身を削ってまでお客にサービスするのは簡単じゃない。そもそも、何の抵抗もなく棺桶に横になれる人間なんて滅多にいない。ほかのお化け屋敷なら、棺桶の中にマネキンを仕込んで、人が通った瞬間にバッと起き上がらせて驚かせる程度だ。刺激は一瞬、終わったらそれまで。

 ところが神崎飛鳥は違う。本人が棺桶に入り、それを看板にまでしてしまっ...

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