第37章

神崎飛鳥は未来に思いを馳せていた。どう考えても、前途は明るい。まっすぐで、障害なんて何ひとつない――そんなふうにさえ思えた。

その背後を、高身長で痩せこけた男がついて歩いている。猿みたいに尖った口元、逆三角形の目。視線は落ち着きなく泳ぎ、ひと目で「ろくでもない」とわかる手合いだった。腹の底に、何かしらの企みを隠している。

男は前方を盗み見た。うつむきがちに、足を引きずるように歩く長髪の女。片手に袋を二つ提げ、さらにもう一つを胸に抱え込むようにしている。

陰気で、服装も地味。いかにも人付き合いが苦手で、家も裕福じゃなさそうな少女――そう見えた。なのに、手元の袋は妙に上等で、抱え方がやけに...

ログインして続きを読む