第65章

神崎飛鳥は、立て続けに二度も強盗に遭ってからというもの、人間の暮らしがどれほど綱渡りかを身にしみて思い知った。油断した瞬間、金を奪われる。あの痛みだけは、どうしても耐えられない。

だから――大金を持って歩くときは、いつも以上に神経を尖らせる。二度目なんて、絶対にごめんだ。

用心していたおかげで、背後に気配があるのもすぐにわかった。

ちらりと振り返ると、そこにいたのは、さっきバスの中で「気をつけて」と言ってきたあの少年だった。

……なんでついてくる?

神崎飛鳥は足を止め、今度は正面から、じっと彼を見据えた。

不意打ちみたいな視線だった。ぞくり、と頭頂まで冷えるような危険が走り、少年...

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