第72章

神崎飛鳥が飛行機に乗るのは、これが初めてだった。飛行機という乗り物があることは知っている。でも乗ったことはない。だって航空券は高い。出かけるなら安い列車かバスを選ぶに決まっているし、自分の人生で飛行機に乗る日なんて来ないと思っていた。

 ふたりは先に搭乗手続きと荷物を預け、搭乗口の近くで見つけた小さな麺屋で夕飯にすることにした。

 神崎飛鳥はメニューを見た瞬間、固まった。

 ――高っ……!

 空港の食べ物って、なんでこんなに高いの?!

 本田優はメニューを覗き込みながら言う。

「何食べたい?」

 神崎飛鳥は、さっきまでに出ていったお金のことを思い出して、胃のあたりがきゅっと縮ん...

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