第8章

神崎飛鳥がうとうとしかけた、そのとき。

  玄関のほうから、また――シャッ、シャッ、シャッ……と、掃き掃除の音がした。ざらついた耳障りな音は夜闇を突き抜け、硬い何かで床を引っかいているみたいで、背中にぶわっと鳥肌が立つ。

  仕方なく起き上がって様子を見に行く。薄い月明かりを頼りに覗くと、部屋の扉の外に、背中の曲がった影が立っていた。青黒い綿入れを着込み、手には竹ぼうき。

  シャ――

  シャッ、シャッ――

  シャッ、シャッ、シャッ――

  神崎飛鳥が出てきたのを察したのか、相手は棒のようにまっすぐな首を、ぐるりと一回転させてこちらを見た。皺だらけの顔は青白く、ところどころ紫...

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